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セブンイレブンは24時間営業じゃない?現状と今後を詳細解説

「セブンイレブンは24時間営業」という、かつての常識について、より深く掘り下げた最新情報をお探しではないでしょうか。昨今、コンビニエンスストアの営業時間をめぐる状況は、社会構造の変化を背景に大きく様変わりしています。

この記事では、大きな関心を集めたセブンイレブン24時間営業問題の発端から、一人のオーナーと巨大企業本部が対峙した24時間営業の裁判に至るまでの詳細な経緯を、時系列に沿って詳しく解説します。

また、そもそも24時間営業はなぜ始まり、日本の社会にどう根付いたのか、そしてなぜ今、そのビジネスモデルが大きな見直しの岐路に立たされているのか、その根本的な理由に迫ります。

競合である他社のコンビニが24時間営業を廃止するのはいつからか、といった多角的な比較情報や、時短店舗一覧の具体的な探し方、店舗ごとの正確な営業時間の確認方法まで、あなたのあらゆる疑問に網羅的にお答えします。

ポイント

  • セブンイレブンが24時間営業という原則を見直すに至った社会的背景
  • 公式サイトやアプリを使った時短営業店舗の具体的な探し方と注意点
  • ファミリーマート・ローソンなど他の大手コンビニチェーンとの方針の違い
  • 人手不足という構造問題から読み解くコンビニ業界の24時間営業の未来

揺らぐ「セブンイレブンは24時間営業」の常識

  • 発端となったセブンイレブン24時間営業問題
  • 24時間営業見直しの具体的な動きとは
  • オーナーが起こした24時間営業の裁判
  • そもそも24時間営業はなぜ始まったのか
  • 店舗ごとの営業時間の調べ方
  • 他コンビニの24時間営業廃止はいつから?

発端となったセブンイレブン24時間営業問題

「セブンイレブンは24時間営業」という、長年築き上げられてきた絶対的な方針が大きく揺らぐ直接のきっかけとなったのが、2019年2月に表面化した大阪府東大阪市のフランチャイズ加盟店オーナーによる「自主的な時短営業」です。この一件は、単なる一店舗の労使問題にとどまらず、コンビニ業界全体が抱える構造的な課題、とりわけ深刻な人手不足と加盟店オーナーへの過大な負担を社会に可視化させ、「セブンイレブン24時間営業問題」として大きな注目を集めることになりました。

問題の発端は、この店舗のオーナーが、配偶者の死別や自身の長時間労働が限界に達したことなどを理由に、これ以上の24時間営業は不可能だと判断し、本部の許可を得ずに営業時間を午前1時から午前6時まで休止する時短営業に踏み切ったことでした。これに対し、セブン‐イレブン・ジャパン本部は、フランチャイズ契約の違反であるとして約1,700万円という高額な違約金を請求し、最終的には契約の解除を通告するという極めて強硬な姿勢で臨みました。この本部の対応が大手メディアで報道されると、同様に人手不足と過重労働に苦しむ全国の加盟店オーナーから共感と支援の声が続々と上がり、世論は圧倒的にオーナーを支持する方向へと傾いていったのです。

この問題は、コンビニが私たちの生活に欠かせない社会インフラとして機能する一方で、その利便性の裏側で、加盟店のオーナーやその家族、そして従業員の自己犠牲とも言える過酷な労働によって支えられているという厳しい実態を白日の下に晒しました。そして、絶対的な力を持つ本部と、それに従わざるを得ない加盟店という力関係の著しい不均衡さも社会問題として広く認識されるようになり、後の公正取引委員会による業界全体への調査が入る直接的なきっかけにもつながったのです。

「この一件は、単なる契約トラブルではなく、日本の労働問題やフランチャイズビジネスのあり方そのものを問う、象徴的な出来事だったと言えますね。」

24時間営業見直しの具体的な動きとは

前述の24時間営業問題と、それに伴う社会的な批判の高まりを受け、セブン‐イレブン・ジャパン本部は、24時間営業という聖域に見直しを迫られる形で、具体的な行動を開始しました。当初は限定的な実証実験という形でしたが、行政からの指摘も加わり、その動きは段階的に本格化していきます。

見直しのプロセスにおける主な動きは、以下の3つのフェーズに分けることができます。

1. 限定的な時短営業の実証実験

2019年後半、世論を鎮静化させる狙いもあり、まずは希望する加盟店を対象に時短営業の実証実験が開始されました。深夜帯の客数や売上がどの程度変動するのか、また、防犯上のリスクはどの程度増大するのかといったデータを収集・検証する目的で行われました。当初は都内の数店舗からという小規模なスタートでしたが、参加を希望する店舗が後を絶たず、最終的には全国で数百店舗が参加する大規模な検証へと発展しました。

2. 営業時間選択のガイドライン策定

実証実験の結果、深夜帯の売上が低い店舗では、営業時間を短縮しても利益への影響が限定的であることがデータで示されました。これを受け、本部は加盟店が営業時間を柔軟に選択するための正式なガイドラインを策定しました。これにより、オーナーは画一的な24時間営業の強制から公式に解放され、店舗ごとの立地や人員、経営状況に応じて本部と協議の上で営業時間を決定できる道が開かれました。

3. 公正取引委員会からの強力な是正要求

2020年9月、公正取引委員会が公表した「コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査報告書」が、この流れを決定的なものにしました。報告書では、本部が加盟店に対して正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える「優越的地位の濫用」にあたる可能性があると厳しく指摘。具体的には、時短営業を希望するオーナーに対して、協議に応じなかったり、不利益な取り扱いを示唆したりする行為が問題視されました。これは行政からの強力な是正要求であり、本部の姿勢転換を決定づける大きな要因となったのです。(出典:公正取引委員会「コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査について」

注意点:24時間営業の完全廃止ではない

ここで重要なのは、これらの動きは「24時間営業の完全廃止」を意味するわけではないという点です。あくまで、加盟店の経営の自由度を高め、選択肢を増やすという方向性の転換です。そのため、繁華街や幹線道路沿い、病院の近くなど、深夜でも安定した需要が見込める店舗では、オーナーの判断により引き続き24時間営業が継続されています。

オーナーが起こした24時間営業の裁判

東大阪市の元オーナーは、本部からの一方的なフランチャイズ契約解除は不当であるとして、オーナーとしての地位確認と、時短営業を続けた場合の損害賠償請求権が存在しないことの確認を求めて、大阪地方裁判所に提訴しました。この裁判は、24時間営業をめぐる本部と加盟店の対立の象徴として、その司法判断に大きな注目が集まりました。

複数年にわたる裁判における主な争点は、法的に見ると以下のポイントに集約されます。

法的な争点 元オーナー側の主張の骨子 セブン‐イレブン本部側の主張の骨子
契約解除の有効性 契約解除は、時短営業に対する報復的措置であり、社会通念上、権利の濫用にあたり無効である。 無断での時短営業や、SNSでの本部批判によるブランドイメージの毀損など、信頼関係を破壊する行為が多数あったため、契約解除は正当である。
時短営業の正当性 人手不足は社会全体の問題であり、24時間営業の継続は客観的に見て不可能であったため、契約の一方的な履行を強いることはできない。 フランチャイズ契約において24時間営業は本質的な義務であり、一方的な時短は明白な契約違反である。
優越的地位の濫用 本部は圧倒的に優位な立場を利用し、加盟店に一方的な不利益を強いるもので、独占禁止法に抵触する可能性がある。 フランチャイズ・システムの維持とブランド価値の統一のために必要な、契約に基づく正当な権利の行使である。

2021年、一審の大阪地裁は「顧客からの苦情対応などに問題があり、信頼関係は破壊されていた」として元オーナーの請求を棄却し、本部の契約解除を妥当とする判断を下しました。しかし、元オーナー側はこの判決を不服として大阪高等裁判所に控訴。上級審での判断が待たれていましたが、最終的に、2025年に大阪高裁の勧告に基づき和解が成立し、5年以上にわたる法廷闘争は終結しています。和解の具体的な内容は公表されていませんが、この一連の司法プロセスは、フランチャイズビジネスにおける本部と加盟店の契約関係や、社会的実態の変化に契約内容をどう適応させていくべきかについて、社会全体に重い課題を提起したと言えるでしょう。

そもそも24時間営業はなぜ始まったのか

今では当たり前の風景となったコンビニの24時間営業ですが、そもそも、なぜ、そしてどのようにして始まったのでしょうか。その歴史は、1975年にさかのぼります。日本で記録上、最初の24時間営業を行ったのは、福島県郡山市にあったセブン‐イレブンの虎丸店であるとされています。

これは、当初から本部が戦略として指示したものではなく、店舗側の「夜も働きたい」という若者のニーズに応える形で実験的に始まったものでした。しかし、深夜でも予想以上の売上があり、その有効性が確認されると、セブン‐イレブン本部はこれを全国的な成長戦略の核として位置づけ、80年代以降、爆発的に24時間営業の店舗を拡大していきました。

本部が24時間営業を強力に推進した主な経営上の理由は、以下の2点に集約されます。

24時間営業を推進した2つの経営戦略

  1. 機会損失の徹底的な排除: 「Any Time, Any Where(いつでも、どこでも)」という利便性を顧客に提供することで、深夜・早朝の需要を完全に取り込み、売上を最大化する狙いがありました。他店が閉まっている時間に営業することで、顧客を独占できるという強力な競争優位性を生み出したのです。
  2. 店舗オペレーションの高度な効率化: 24時間営業は、単に営業時間を伸ばすだけではありませんでした。比較的に客数の少ない深夜帯に、商品の検品・補充・陳列、店内外の清掃、販促物の交換といったバックヤード業務を集中的に行うことで、日中の接客ピークタイムを円滑に運営できるという大きな利点がありました。これにより、店舗全体の労働生産性を高めることができたのです。

このように、24時間営業は売上向上と業務効率化の両面を同時に実現する、極めて合理的なビジネスモデルとしてコンビニ業界のスタンダードとなり、日本の社会インフラの一部として深く定着していったのです。

店舗ごとの営業時間の調べ方

「セブンイレブンは24時間営業」という大前提が崩れた現在、目的の店舗が深夜や早朝に営業しているかを事前に確認する必要性が高まっています。店舗ごとの正確な営業時間を調べる最も確実で推奨される方法は、セブン‐イレブンの公式情報チャネルを活用することです。

主に、以下の2つの方法があり、どちらもリアルタイムの情報が反映されています。

1. 公式サイトの店舗検索ページを利用する

最も手軽なのは、パソコンやスマートフォンからセブン‐イレブン公式サイトの「店舗検索」ページにアクセスする方法です。地名、駅名、あるいは郵便番号で検索した後、表示された店舗リストから目的の店舗を選ぶと、住所や電話番号と共に営業時間が明記されています。「24時間営業」ではない店舗には、「7:00-23:00」や「6:30-24:00」のように、具体的な開店・閉店時刻が正確に記載されています。

2. セブン‐イレブン公式アプリの店舗検索機能を活用する

日常的にセブン‐イレブンを利用し、公式アプリをインストールしている方であれば、アプリ内の店舗検索機能が便利です。スマートフォンのGPS機能と連携させることで、現在地から最も近い店舗を地図上に表示し、タップ一つで営業時間を含む詳細情報を確認できます。また、絞り込み機能を使えば「ATMあり」「お酒取り扱い」といった条件と合わせて探すことも可能です。

補足:悪天候や特別なイベント時の営業時間について

台風や大雪といった悪天候の際や、年末年始、地域の大きなお祭りなどの期間は、安全確保や特別な運営体制のため、通常とは営業時間が異なる場合があります。このような不測の事態が予想される場合は、公式サイトの情報を確認するとともに、店舗に直接電話をして営業状況を確認するのが最も確実です。

他コンビニの24時間営業廃止はいつから?

24時間営業モデルの見直しは、セブンイレブンだけの個別の問題ではありません。業界2位のファミリーマートや3位のローソンといった他の大手コンビニチェーンも、人手不足という共通の課題に直面しており、それぞれが独自の対応を進めています。

では、他社のコンビニが24時間営業を廃止するのはいつからか、という点ですが、これもセブンイレブンと同様に「全社一斉に廃止する」という明確な時期が設定されているわけではありません。各社とも、加盟店の自主性を尊重し、個々の店舗の判断に委ねるという柔軟な方針へと大きく舵を切っています。

ただし、そのアプローチには各社の戦略の違いが表れており、非常に興味深いものがあります。

チェーン名 24時間営業に対する基本方針 具体的な取り組みや特徴
セブン‐イレブン 原則維持しつつ、加盟店の選択制を導入 ガイドラインを策定し、個店ごとに本部と協議の上で時短を決定。あくまで個別の対応が基本。
ファミリーマート 時短営業を制度として積極的に推進 2020年から「時短営業加盟店支援制度」を導入。日曜深夜の休業を希望する店舗に月10万円の支援金を支給するなど、時短を選択しやすい環境を整備。
ローソン 省人化・無人化技術の活用を模索 深夜帯に店員が不在となる「深夜無人営業」や、アバターによる遠隔接客などの実証実験を積極的に推進。テクノロジーで24時間営業の維持を目指す。

このように、各社のアプローチには濃淡があるものの、かつてのような24時間営業を絶対視する時代は完全に終わり、店舗運営の多様性を認める方向に進んでいるという大きな潮流は共通しています。特に、ファミリーマートの澤田貴司社長(当時)が「全加盟希望店での時短営業を容認する」と表明したことは、業界の潮目が変わったことを象徴する出来事でした。


今後の「セブンイレブンは24時間営業」の行方

  • セブンの24時間営業廃止はいつからか
  • 時短営業をしている店舗一覧の探し方
  • 深夜営業のあり方に関する社会の議論
  • 人手不足と24時間営業の深い関係性
  • まとめ:「セブンイレブンは24時間営業」は今後どうなる?

セブンの24時間営業廃止はいつからか

多くの人々が最も関心を持つであろう「セブンイレブンの24時間営業廃止は、具体的にいつから全国的に始まるのか」という疑問。これに対する最も正確な答えは、「全国一斉に開始される特定の時期は未来永劫ありません」となります。

これまでの解説の通り、セブン-イレブン本社の方針は、24時間営業というビジネスモデルを完全に放棄することではありません。その本質は、これまでの画一的な強制から、加盟店オーナーが自らの店舗の立地特性(住宅街、オフィス街、繁華街など)や、確保できる人員の状況に応じて、最も持続可能で収益性の高い営業時間を柔軟に選択できるようにする、という経営方針の転換にあります。そのため、本部が「〇年〇月〇日をもって、全国の店舗で深夜営業を終了します」と宣言することは、今後まずないでしょう。

既に時短営業を導入している店舗は全国に数千店規模で存在しており、その数は今後も緩やかに、しかし確実に拡大していくと見られています。つまり、24時間営業の廃止は「いつから」という明確な開始点を持つイベントではなく、社会の変化に対応する形で既に静かに進行しているグラデーションのような現象だと捉えるのが最も正確な理解です。

「つまり、あなたの街のセブンイレブンがいつ時短営業になるか、あるいは今後も24時間営業を続けるのかは、その店舗のオーナーさんの経営判断次第、ということですね。」

時短営業をしている店舗一覧の探し方

「深夜に急な買い物が必要になった」「自分の生活圏にある店舗は時短営業に切り替わったのか知りたい」といった、より生活に密着したニーズも増えています。しかし、現時点において、セブン‐イレブンの公式サイト上には「時短店舗一覧」といった形で、対象店舗がリストアップされ、公表されているわけではありません。

これは、各店舗の営業時間が流動的であり、オーナーの判断で変更される可能性があるため、本部が一元的なリストとして管理・公開することが難しいという事情があります。そのため、時短営業の店舗を網羅的に探すには、少し手間がかかりますが、公式サイトの店舗検索機能を用いて、一軒ずつ地道に確認していくことが、現時点で最も確実かつ唯一の方法です。

時短営業店舗を特定するための具体的な手順

  1. セブン‐イレブン公式サイトの店舗検索ページにアクセスします。
  2. 調べたい地域(例:「東京都新宿区」「大阪駅」など)を入力して検索を実行します。
  3. 地図とリストに表示された店舗の中から、詳細を知りたい店舗名をクリックまたはタップします。
  4. 店舗の詳細情報ページが表示されるので、その中の「営業時間」の項目を確認します。
  5. この項目が「24時間営業」以外の記載(例:「7:00-23:00」)になっていれば、その店舗が時短営業店舗です。

この方法で、特定のエリアにおける各店舗の営業形態を正確に把握することが可能です。一見、面倒に感じるかもしれませんが、深夜や早朝に店舗を訪れる前にこの一手間をかけることで、「行ってみたらシャッターが閉まっていた」という無駄足を確実に防ぐことができます。

深夜営業のあり方に関する社会の議論

コンビニの24時間営業問題は、単に一企業の経営戦略やフランチャイズビジネスの課題という枠組みを超え、現代日本の社会における「深夜」という時間の価値や、そのあり方そのものを問い直す、より広範な議論へと発展しています。

これまで、24時間営業のコンビニは「いつでも開いている」という絶対的な安心感を提供し、私たちの生活に深く溶け込んできました。夜勤従事者の食事や休憩の場として、また、急な体調不良時の医薬品(指定医薬部外品)や生活必需品の購入場所として、そして時には深夜の駆け込み寺としての防犯機能など、多様な役割を担う社会インフラとしての一面を担ってきたことは紛れもない事実です。

一方で、その圧倒的な利便性が、現場で働く労働者への過度な負担と、低い賃金水準の上に成り立っていたという負の側面も、この問題を通じて広く認識されるようになりました。深夜労働が心身に与える健康への影響や、人手不足が社会全体で加速する中でのビジネスモデルとしての持続可能性が、今、根本から問われています。

「無限の利便性を追求する社会と、そこで働く人々の権利や健康を守る社会。この二つの価値観のバランスをどこで取るべきか、という大きなテーマが根底には流れているんですね。」

さらに、SDGs(持続可能な開発目標)への関心の高まりから、深夜に煌々と照明を灯し続けることによるエネルギー消費の観点や、フードロス問題との関連で、深夜営業が環境に与える負荷を懸念する声も増えています。コンビニの営業時間をめぐる一連の議論は、今後の日本の社会がどのような価値を優先していくのかを占う、重要な試金石と言えるでしょう。

人手不足と24時間営業の深い関係性

セブンイレブンの24時間営業問題、そしてコンビニ業界全体の変革の根底にある、最も巨大で抗いがたい要因は、言うまでもなく日本の社会が直面する深刻な「人手不足」です。特に、少子高齢化による生産年齢人口(15~64歳)の減少は、この問題を構造的なものにしています。

総務省統計局のデータによると、日本の生産年齢人口は1995年をピークに減少を続けており、今後もこの傾向が続くことは確実視されています。このようなマクロな環境下で、特に若年層の労働力に依存してきたコンビニ業界が、深夜帯のアルバイトを確保することは年々絶望的に困難になっています。(出典:総務省統計局「統計トピックスNo.132 我が国の労働力人口の動向」

なぜ深夜シフトは集まらないのか?

かつては、時給の高さから学生やフリーターに人気のあった深夜シフトですが、近年は敬遠される傾向にあります。その理由として、ライフスタイルの多様化、安全面への不安、そしてより待遇の良い他の夜間労働(フードデリバリーなど)の選択肢が増えたことなどが挙げられます。

人手が慢性的に集まらない状況で、本部が24時間営業の原則を維持しようとすれば、その負担は必然的にフランチャイズ契約を結ぶ個々の加盟店オーナーにしわ寄せされることになります。結果として、オーナー自身が仮眠も取らずに深夜シフトに入り続けたり、家族総出で店を切り盛りしたりしなければ、店舗運営そのものが成り立たないという悲惨なケースが全国で増加しました。東大阪市の問題は、こうした構造的な矛盾がもはや限界に達した結果、噴出したものだったのです。

この視点から見れば、24時間営業の見直しは、単なる経営戦略の転換というよりも、日本の人口動態という、もはや誰にも止められない大きな社会構造の変化に対応するための、必然的かつ不可逆的な選択であったと結論づけることができます。

まとめ:「セブンイレブンは24時間営業」は今後どうなる?

この記事で詳細に解説してきた、「セブンイレブンは24時間営業」という常識の変容について、最後に重要なポイントを要約します。

  • 「セブンイレブンは24時間営業」という画一的な方針は既に崩壊している
  • 直接のきっかけは2019年に表面化した東大阪市の店舗をめぐる24時間営業問題
  • 深刻な人手不足を理由にした自主的な時短営業をめぐり本部とオーナーが対立
  • この問題は契約解除と裁判にまで発展し社会的な注目を集めた
  • 世論や公正取引委員会の是正要求を受け本部も方針転換を迫られた
  • 現在では加盟店の判断で本部と協議の上、営業時間を短縮することが認められている
  • ただし24時間営業というビジネスモデルが完全に廃止されたわけではない
  • 繁華街など深夜需要の大きい店舗ではオーナー判断で24時間営業が継続される
  • 全国一斉に24時間営業が廃止される特定の時期というものは存在しない
  • 公式サイトに「時短営業店舗の一覧」というリストは公開されていない
  • 個別の店舗の正確な営業時間は公式サイトやアプリの店舗検索で確認するのが確実
  • ファミリーマートは制度で時短を後押し、ローソンは無人化技術で対応を目指すなど他社も追随
  • この問題の最も根深い原因は日本の構造的な人手不足と生産年齢人口の減少にある
  • コンビニの利便性と労働環境の維持という社会的なバランスが問われている
  • 今後は店舗ごとに営業時間が異なるのが当たり前の時代になっていく

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